モラハラ夫の特徴
モラハラ行為をする夫も千差万別で、社会的経済的地位もさまざまです。しかし、妻を自分よりも常に劣後する立場に位置づけて、ちょっとした失敗やささいな出来事を使って、ねちねちといつまでも文句や嫌みを言い続けてきます。また、妻が家庭外の友人と自由な時間を持つことも非常にいやがります。
モラハラを理由に夫と離婚することは可能か
民法上の離婚原因は、たとえ相手が離婚に同意しなくても最終的に裁判離婚という形で離婚できることができる権利とみることもできます。具体的には、相手の不貞行為、相手から悪意で遺棄された場合、相手の3年以上の生死不明、相手が重大な精神病にかかった場合というような離婚原因があがっています。モラハラ行為自体は、直接はこのどれにも該当しません。ただ、モラハラ行為をする夫の稼ぎが低い場合は生活費を渡さないという行動を伴うことがありますので、その場合には、相手から悪意で遺棄された場合に該当することもあります。
ただ、モラハラが離婚原因となるかどうかは、多くの場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかどうかで決まってきます。この定めは、性格の不一致等、原因は何であれ、ささいな事情の積み重ねで結婚生活が破綻した場合に、離婚を許すものです。モラハラが原因となっているときでも、その積み重ねで、夫婦関係が悪化し、しかも、将来的に円満な夫婦関係の回復が見込めなければ、離婚が認められる可能性が高くなるのです。
モラハラ夫と離婚をするための手順
モラハラ夫と離婚するためには、実は、手順が必要です。多くの場合、モラハラ夫は、自分の稼ぎがどんなに低くても、妻を家庭内に押し込めておこうという姿勢が強いのです。パート就労すら許さない夫もいますし、ひどいモラハラ夫になると、家計の管理は夫が握り、妻には自由な小遣いを渡さないようにしています。
試しに、夫が管理している預金通帳や源泉徴収票などのコピーをとり、じっくり数字を確認してみると、経済的にどのように支配されていたかがわかります。このコピーは大切なものですから、きちんと後々に備えて保存しておきましょう。
そのため、モラハラ夫と離婚するためには、実家の援助も得た上で、夫の経済的支配下から飛び出して、モラハラ夫と別居する必要があります。もちろん、実家に戻る形でもかまいません。アパートを借りるときは、住所はモラハラ夫には教えないようにし、勤務先にも事情を話して夫には知らせないようにしておきます。
そうすることで、これまで当たり前だと思えていた夫の言動が、実は、かなりひどいモラルハラスメントであると認識できるようになります。モラハラ被害を受けていたという自覚がなければ、離婚に向けての動機付けも生まれませんし、モラハラ夫が見せかけの謝罪をしてきた場合には、あっさり騙されて、元の木阿弥になってしまうことも珍しくありません。
落ち着いたら、就労し始めるのもよいことです。これまで、全く自分の自由になるお金がなかったという方もけっこういると思います。家庭外の人間関係を築いていくことで、モラハラ被害を受けていた認識はさらに強まります。また、就労することで離婚後の自活についても目処が立ってきます。
モラハラ夫と離婚をするための準備
そうして、モラハラ被害の認識がしっかりできて、社会とのつながりを取り戻すことができたらば、今度は、離婚後の母子の公的支援としてどのようなものが活用可能なのかを市役所などで調べてみることも必要です。母子の公的支援は各自治体によって違いがあることがありますから、ご自分で納得いくまでよく調べてみることが大切です。
ここまできて、やはりやり直しは難しいと決断されれば、離婚協議をモラハラ夫としていくこととなります。もちろん、モラハラ被害を認識した上で、夫婦のやり直しを決断するということもありましょうが、そのときもモラハラ夫と協議していくこととなります。
とはいえ、モラハラ夫はこれまで巧みにあなたを支配下に置いてきた人物です。協議しているように思えて、実は、相手にまた支配されているということにならないように気をつけます。協議段階から弁護士を活用することも考えてみてもよいと思います。表面から代理人としてしまうと、モラハラ夫の神経を逆なでするだけですから、バックアップしてもらうという形が望ましいでしょう。
モラハラ離婚で調停や裁判で有利に進めるための知識
協議が難航した場合には、離婚したければ、次のステップとしては、離婚調停の活用、離婚調停が成立しなければ離婚裁判ということになります。
また、円満修復をめざす場合には、協議だけではうまくいかないときには、家庭裁判所で、夫婦関係円満調整調停を活用することになります。
もちろん、早期に解決したいものですが、相手は百戦錬磨のモラハラ夫です。長期戦は覚悟せざるを得ません。すぐさま離婚成立ということにはならないのであれば、モラハラ夫がよく口にする、家庭を大切にするという反省の弁を利用して、当面の間の生活費=婚姻費用を支払ってもらう調停を先に成立させてもらいましょう。最近の家庭裁判所は、離婚調停と同時に婚姻費用分担調停が申し立てられていると、先に婚姻費用分担調停をまとめにかかってくれるので、その流れにしっかりと乗っていくことが大切です。
また、モラハラ夫は、一人親家庭では子どもがかわいそうという言葉をよく口にします。実際には、同居中は子どもの世話などは全くしていないので、どの口がそんなことを言うのか?と不思議になりますが、決まって、そのようなことを言ってきます。その場合には、負担が少なければ、子どもとの面会交流をルール化してモラハラ夫の弁解を封じ込めることも大切です。
もっとも、早晩、離婚後も共同親権となる法律改正が予定されていますので、今後は、別に離婚してもあなたの心配は当たらなくなったよ、と言えばいいだけのことになります。
逆に、夫との関係を修復する場合には、いったん冷静になってどんなモラハラ行為が夫婦仲を悪くしていたのかを見つめ直して、今後の夫婦関係を悪くしない調停条項を具体的に考えていくことになります。
モラハラ夫と離婚する際に注意するべきこと
モラハラ夫は、別居した程度では、これまで自分の支配下に置いていた妻や子どもが自分から自由になったとは考えません。そのため、不意にあなたの元を訪ねてきたり、平気で泊めてくれと言い出したりしてきます。
すぐに緊急の手助けを受けられる体制は整えておきたいものです。実家の支援を受けられるならば、実家からすぐにかけつけてもらうのが理想的です。それが難しい場合には、警備保障会社と契約して、すぐにかけつけてもらうサービスを活用することも考えなければなりません。各社とも手頃な料金プランもありますから、確認してみてください。
モラハラ夫と離婚するうえでの弁護士のサポート
モラハラ夫は、ある程度社会的体裁をとりつくろいがちです。もちろん、モラハラだけにとどまらず、DVまでいってしまっていれば、社会的評価も気にしなくなっていますが、暴力までは行っていないというときには、周りの目も気にしています。
その意味で、弁護士からアドバイスを受けながら、モラハラ夫と折衝していくことも有益ですし、別居に踏み切るまでにやっておかなければならない情報収集作業もあります。その点も弁護士から指示を受ける必要があります。
新山口法律事務所でのサポート
当事務所でももちん、モラハラ夫の具体的な人柄・行動パターンを踏まえつつ、相手との折衝については、あなたが置かれている立場・実家との関係性も見ながら、離婚または円満修復のサポートをご提案していきます。
さらに、離婚に向けては、同居期間中にしておかなければならないこともいくつかありますので、それらをアドバイスさせていただきつつ、別居先の選定等もご相談に応じさせて頂いています。