離婚の際に考えないといけない子どものこと
夫婦の間に子どもがいるとき、あるいは夫婦の一方または双方に前の配偶者との間の子どもがいて、その子を連れ子として夫婦で養育しているとき、離婚する際には、離婚後に子どもを誰が中心になって育てていくかを決めていく必要があります。
現在の法律では、離婚した後は、夫婦のどちらかが子どもの単独親権者となって、子どもと同居して子どもの世話をしていくことになっています。親権者とならなかった親は、子どもの養育費を支払うことになりますが、他方で、子どもと定期的に面会交流していき、子どもとの交流を維持していくことが多いです。
このことは連れ子が夫婦の正式な養子となっているときも、同じです。離婚したからといって自動的に離縁することにはなりません。養子の親権者をどちらにするかを決定しておく必要があります。
ただ、法務省で民法改正を審議しているところでは、離婚後も結婚中と同じまま、子どもについては共同親権とする選択肢が盛り込まれる法律ができる見込みが高く、この法案が成立して施行されれば、離婚した後も子どもの親権は共同親権のままとなっていく場合が出てきます。不仲でろくに話もできないからこそ、離婚をしようというのに、子どもの親権は共同親権で行くとなると、あちこちでほころびを生みそうで、心配ですね。
離婚と親権について
離婚した後、夫婦間の実子・養子については、現在の法律では、母か父かどちらかを単独親権者として指定していくことになります。この点の協議がととのわなければ、多くの場合、最終的には離婚訴訟を起こして、裁判で決着していきます。
養子については、実親が親権者となり、子どもに代わって離婚する相手の配偶者と離縁届を出すケースが多いです。
離婚後単独親権の法制度には、現在、法務省の民法改正の作業が進んでいて、離婚後も共同親権を維持する方向で法律改正が実現する見込みです。
離婚と監護権について
離婚した後、単独親権者に指定された親が、子どもの監護権を取得することが原則です。
ただし、メンツにこだわって親権者でなくなるなら離婚したくないという男性も少なからずいることから、従来は、形だけ父親を親権者として、母親を監護権者に指定することで、実質を取った時期もありました。
しかしそうなると、正式な親権者の同意が必要な場合、一番困るのはたとえば、重大な疾病で子どもが入院して手術を受けなければならないときなどに、日頃は子どもの世話に携わっていない別居している父親の同意が必要だとなったりして、緊急手術に間に合わなくなることが起きてきました。
そのような弊害が出てきて、基本的には親権と監護権を分けた離婚というのは見られなくなってきています。
離婚後共同親権の法制度が実現したときの監護権のあり方は複雑になってくると予想されます。
離婚と面会交流について
離婚した後、親権者にならなかった親は、一緒に暮らしていない親と定期的に面会、授業参観等の学校行事の参加、メールやラインのやりとり、などのさまざまな手段を通じて子どもとの交流を維持していくことができます。これを総称して面会交流権といいます。
面会交流権は子どもの健やかな成長、別に暮らしていても両親から愛されているという実感と満足を得させるために認められるものです。おとなの満足のために認められる権利ではありません。
そのため、DVなどの児童虐待がある場合には、面会交流の権利は大きく制約される場合もあります。
離婚と養育費について
離婚した後、親権者にならなかった親は、子どもの養育費を支払っていくことになります。養育費は子どもと同居する親と、親権者にならなかった親の双方の収入で単純に決められていきます。代表的な子どもの人数に即した養育費の算定表が最高裁判所から公表されていますので、参考にごらん戴くとよろしいと思います。
なお、養育費は、親権者となった親が再婚して、再婚相手と子どもとを養子縁組させた場合には、養親の資力が十分な場合には、支払義務がなくなってくる場合があります。また、養育費の終期は予定でしかありません。大学卒業を念頭に置いて子どもが満22歳に達する日の属する年度の3月までと定めていても、実際には、子どもは大学に行かずに高校卒業後に就職する場合もあります。その場合には、高校卒業・就職とともに養育費の支払義務は終了することになります。
離婚でお悩みの方は弁護士にご相談ください
離婚にまつわる子どもがらみのことは親権・監護権・面会交流・養育費など、細かく見ていくと、いろいろ問題があります。さらに、現在、法務省で検討中の離婚後共同親権制度となると、複雑な問題が多く出てきます。お悩みの方は一度、弁護士にご相談ください。当事務所でも、これまでの取扱い経験から一般的でない問題も、今後の離婚後共同親権導入についても、可能な範囲でアドバイスして参ります。