1.40代の方の離婚相談の実態
夫婦の一方が40代の方々の離婚相談は多いのですが、離婚条件の調整が大変になる要因がたくさんあり、いわば離婚問題の火薬庫の様相を呈してしまいがちです。簡単にご紹介していきましょう。
2.離婚後の子どもの親権をどちらがとるかで争う
40代のご夫婦のお子さんは大半が幼稚園から中学生あたりの年代であることが多いようです。この年齢層のお子さんを持っている夫婦の離婚では、離婚後に子どもと暮らす親がどちらになるのか、といった点で大きな争いになります。
ちょっと前までは、当たり前のように妻側が子どもを伴って別居して離婚手続に踏み出していました。そして、当然のように、同居中からの監護の中心的担い手として、監護の継続性・安定性を盾にとって子どもと一緒に暮らす単独親権を獲得することができていました。
しかし、夫側がいつも親権を失うのはおかしいという風潮が高まり、選択的離婚後単独親権制度が民法改正で制定され、来年4月に施行を控えるようになっています。改正法施行前の現時点・また改正後施行後でも離婚後共同親権はあくまでも選択的ですので、離婚後は単独親権というパターンも存続しますが、ただ、改正法の背景にある夫側の不満を受けて、離婚後の単独親権者指定の基準も従来の監護の担い手を優先させる発想から、変化を見せつつあるようです。
3.一緒に暮らせない親からの面会交流の実現
離婚によって子どもと一緒に生活できない親は、これまでも面会交流権があると言われ、その権利性はだんだんと強化されてきています。
選択的離婚後共同親権の改正法制定を促した夫側の世論の高まりからすれば、この面会交流の実現の強化の流れは変わらないものと思われますが、逆に、子どもと一緒に暮らしている親からすれば、どのように対応すればよいのか困ってしまう場面も出てくるものと思われます。
4.養育費
離婚後子どもと一緒に暮らす親は、他方の親に養育費を請求することができます。養育費額は最高裁判所の算定表に従って、双方の収入によってほぼ機械的に算定できますが、実際には双方の親同士で話し合い、合意ができれば、合意に従って支払っていくこととなります。
合意ができなければ、家庭裁判所の調停で話し合い、それでも合意ができなければ家庭裁判所の審判で決定されるという流れになります。
ただ、この養育費請求の調停や審判での解決には時間がかかる場合がありました。
そのため、選択的離婚後共同親権を内容とする民法改正では、法定養育費制度というものも決められました。養育費の合意がなくても、法定養育費の額は支払わなければならないという制度です。現在はまだ改正法が未施行であるため、具体額は決まっていませんが、今後、具体額も決まってくる見通しです。
5.財産分与
40代の夫婦の離婚では財産分与が問題となることもあります。まだ住宅の購入に踏み切らず、住宅購入資金の貯蓄に励んでいたり、教育資金を貯めていたりする中での離婚ということになれば、財産分与についても問題となりますし、分与請求額も大きい金額となることが予想されます。
ただし、逆に、住宅購入に踏み切ってしまっている40代夫婦の離婚の場合には、夫婦名義のプラス財産の総額が、住宅ローンの残債務額に届かず、全体としてはマイナス財産となってしまいます。マイナス財産、つまり債務は、貸し付けの際に銀行などの債権者が信用調査をした上で個人に貸し付けるものですので、いくら離婚とはいえ、信用調査をクリアできない配偶者に負債を分けることは、債権者の権利を侵害することになりますので、マイナス財産の分与はできません。住宅ローンが大きい夫婦の場合には、財産分与は問題とする余地がなくなるのです。
以上のとおり、40代夫婦の離婚問題はさまざまな問題を抱えていて、それぞれの夫婦
の置かれている状況も違います。詳しいことは弁護士にご相談ください。