夫婦の危機「スマホ離婚」とは?弁護士が解説する原因・慰謝料・回避策のすべて

「スマホ離婚」とは何か?現代夫婦が直面する新たな問題

「スマホ離婚」という言葉が最近目につくようになりました。特に法律用語というわけでもなく、内容的にも明確に、これ!という一義的な定義がある用語ではないのですが、夫婦の一方または双方がともに過ごす時間に会話等もせずにスマートホンのアプリやゲームをしていて、夫婦関係が冷え込み、いつの間にか、離婚にまで発展してしまう、というのが「スマホ離婚」に関する最低限の共通理解のように思われます。

スマホ利用を理由に離婚は成立するのか?法的側面からの解説

法律的には、話し合いで解決ができるならば、別に離婚原因がなくても離婚することはできますから、たとえ「スマホ利用」が原因であっても、離婚自体はできる場合があります。お互いに会話もなくなったし、一緒に同居している意味もなくなったと考えが一致すれば、「スマホ利用」だけが理由でも離婚はできることになります。

ただ、一方が合意しないという場合に、離婚するには法律的にも「離婚原因」の存在が必要です。民法770条1項では5つの離婚原因を示していますが、この中に直接的に「スマホ離婚」は挙げられていません。

ただ、夫婦の一方がともに過ごす時間に会話等もしないまま、スマートホンのアプリやゲームをする状況の背後には、モラルハラスメント、DV、あるいは性格の不一致による永年の夫婦不和などがある場合があります。背後にそれらの事情がある場合、モラルハラスメントなどが原因で夫婦仲が不和となってしまい、将来的にも円満な夫婦関係の回復ができないと認定できるときには、表面的には「スマホ離婚」であっても、背後にあるモラルハラスメント、DV、性格の不一致などが「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚できる場合があると思われます。

話し合いや調停での離婚(協議離婚・調停離婚)

スマホ利用だけが理由でも、そして背後にモラハラ等の事情がないとしても、お互いに話し合いがついてしまえば、離婚届を提出して協議離婚を成立させることもできますし、養育費等の離婚条件について調整が必要で、そこの部分を家裁の調停を利用して、離婚条件についても合意ができれば、調停離婚することも可能です。

裁判での離婚(裁判離婚)

裁判での離婚をしなければならないというときには、「スマホ利用」だけでは離婚判決は勝ち取れません。その背後にある、モラルハラスメント、DV、性格の不一致等の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するような事情が必要です。具体的には、皆さんそれぞれ抱えている事情が千差万別、バラバラですので、弁護士にお尋ねください。

弁護士が指摘する「スマホ離婚」に繋がりやすい具体的な行動

「スマホ離婚」といってみても、大半の場合には、その背後に一方のモラルハラスメント、一方のDV、一方の生活費不払、一方の浪費、双方の性格の不一致といった事情がある場合が殆どです。

男性側に見られる暴力的な言動、昭和時代と同様の家事育児の負担回避、妻の抱える分娩後の身体状況や精神状況の変化への無頓着といった事情は、妻側から見れば、DVに見えたり、モラルハラスメントに見えたりすることが非常に多いのですが、男性側はあまりそのことに気づけない方が多いように思います。気がつかないままでいると、妻は夫との会話には気乗りがしなくなり、スマホをいじり続けるということになりかねません。

逆に、女性側に見られる家計管理をしている中で、妻個人の口座・金融資産への秘密の蓄財、夫の小遣いを極限まで減らして、借金が発覚すると自己破産に追い込みつつ、それでも夫の給料全額管理をやめようとしない態度、家事育児を夫に押しつけて、何の感謝もしないぐうたらママ、妻と子どもとで一家団欒を完結し、夫のご飯は作らないか、別にする疎外といった事情は、夫側に離婚の決意をさせる要因となりかねません。妻や子どもから疎外された夫はひたすらスマートホンをいじり続けますが、ひそかに離婚を決断するということも珍しくありません。

会話の機会の喪失と孤独感

「スマホ離婚」のケースのうち、モラルハラスメントやDVが背景にある場合には、さらに夫から社会的隔離を受けている妻も多く見かけます。もちろん、加害者である夫と会話しても楽しくありませんので、スマホをいじり続ける妻は孤独感を募らせたり、モラハラやDVによる心的外傷後ストレス障害に陥ることもあります。

また、「スマホ離婚」のケースのうち、経済的に追い詰められている夫の中には、妻が夫の実家である舅・姑にも手を回して、夫が愚痴をこぼせないようにしてしまっているケースもあります。夫側が心的外傷後ストレス障害の診断書を提出すること自体は少ないですが、スマホをいじり続ける夫が精神的に追い詰められて弱ってしまっているとも多く見られます。その孤独感につけ込まれて、極端に不利な離婚条件を押しつけられるケースも見られます。

高額な課金による家計への影響

携帯電話料金の高額化はどの離婚案件でもよく目にするところですが、高額な課金によって家計を破綻させるといったケースは離婚案件で目にすることは、今のところ少ない感じがします。

アブリ利用料金、ゲームの有料アイテムの課金等が行き過ぎて、借入金がふくらむといったケースでは、離婚ではなくて、自己破産等の相談でご連絡をされてくるお客様が大半です。

「スマホ離婚」のケースでは、家計の中で、通信費が高いのは否定できませんが、それが婚姻費用分担調停や離婚後の養育費算定に影響するほど、ひどい状況は少ないように思われます。

「スマホ離婚」で慰謝料は発生するのか?ケース別の法的判断

「スマホ離婚」が「スマホ利用」だけを理由とする離婚である場合には、特にスマホ利用が違法行為であるわけではありませんから、それ単体で慰謝料が発生するということは考えにくいですし、多少、スマホ依存気味でも、「不法行為」が慰謝料の支払義務を発生させるのは、「受任限度」を超える場合に限られますので、多くの場合には、「スマホ離婚」では慰謝料は問題とならないと思われます。

原則として慰謝料が発生しないケース

背後にモラルハラスメント、DV等の事情がない「スマホ離婚」では、慰謝料の支払は問題とならないと思われます。

慰謝料請求が認められる可能性のあるケースとその相場

逆に、表面上、「スマホ離婚」に見えても、その根っこにモラルハラスメント、DV、家計管理を悪用した横領などの問題行為がある場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります。日本の慰謝両相場はもともと外国と比較して低いことは確かですので、慰謝料請求の認容額が100万円以上となるのは考えにくいですが、こればかりはケース・バイ・ケースですので、弁護士にご相談ください。

スマホ離婚に至らないために

「スマホ離婚」といっても千差万別です。背景にモラハラや家計管理に伴う使途不明金の発生といった深刻な状況がなければ、夫婦で一緒にいる時間帯にスマホで不必要にアプリを操作したり、ゲームにのめりこまないようにしたいところです。

逆に、「スマホ離婚」の背景に深刻な事情を抱えているケースの場合には、夫婦関係の修復に向けて行きたいのか、離婚やむなしなのか、まずは、ご自分の気持ちに向き合ってみることが必要です。

お気軽に弁護士にご相談ください

スマホ離婚で後悔しないためにも、離婚問題に強い弁護士にご相談ください  表面的に「スマホ離婚」と一口に言ってみても、状況はいろいろ。離婚ができるのか、慰謝料請求までできるのか、といったことも含めて、無理して我慢していいものなのか、弁護士にご相談頂くのも一案です。

お一人で悩まず弁護士にご相談ください。 TEL:083-976-0491 受付時間 平日 10:30~18:00 お一人で悩まず弁護士にご相談ください。 TEL:083-976-0491 受付時間 平日 10:30~18:00

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