離婚調停を申し立てられたら

① 調停申立書が届いたら

 家庭裁判所から、ある日、離婚調停申立書が入った封筒が届くことがあります。封筒は茶封筒だけれど、差出人は個人名。不思議な封筒ですが、開封してみると、離婚調停申立書と、あなたが記入して家裁に出さなくてはいけない回答書などが入っています。

 細かい文字で注意書きがいっぱい書いてあります。

 離婚調停申立書には、あなたが見ると、納得できないような要求事項が並んでいます。

 よく読んでいけば、なんとなく分からなくもなさそうだけれど、相手方の勝手な要求がちらついて、イライラします。こんな理不尽な要求が、このまますんなりと実現してしまうのはイヤ。

 実は、離婚調停申立書には、相手方の一方的な要求が書かれているだけでそのまま実現するわけではありません。現実の調停の席上で、各テーマについて話し合っていくだけだから、不愉快ではあっても、相手方の言い分をよく読んでおけばいいのです。

    とはいえ、よく読んでおいても、現実の調停の席上で、どのように対応すればよいかは実は簡単ではありません。緊張もするし、調停委員はあまり熱心に聞いてくれないように見えるときもあります。効果的に自分の反論を伝えていくために、弁護士と作戦会議をしておく必要性は高いのです。

 

② 提出しないといけない「答弁書」や「事情説明書」をどう書くの

 反対に、あなたが提出しないといけない「答弁書」や「事情説明書」、「進行に関する照会回答書」、「送達場所等の届出書」には、調停でのあなたの希望・要求・日程などを記載するので、重要です。「答弁書」というのは、敵の「調停申立書」に記載されている一方的な見方や、嘘を指摘して、あなたの言い分を簡潔に記載する書面です。「事情説明書」はあなたの家族構成や年収、財産などを記載する欄がある書類ですが、これもまた調停に向けてあなたの主張を生かせるように記載する必要があります。特に、「答弁書」や「事情説明書」などには、あなたの法律的な要求をきちんと記載しないといけません。

 「進行に関する照会回答書」は指定された調停期日に行けるのかどうか、や、行けないときには次の調停期日はいつが希望なのかといった調停の進行に関する日程面の希望などを記載する書面です。「送達場所等の届出書」は裁判所からの連絡先を自宅にしてもいいのか、別の場所にしてほしいのかというあなたの希望を記載する書面です。

 離婚調停を起こされたからと言って、あなたも離婚しなければならないというわけではありません。当分の間は、籍を抜かないで別居したままでいいと思う方もいますよね。

 調停申立書に対するあなたの考えを、法律的に正確に表現して「答弁書」「事情説明書」の自由記載欄に記載します。当分の間、別居状態のままでかまわないというのならば、「別居調停」を求める記載をすることになります。

 

③ 提出期限までに間に合わないときや指定された調停期日には仕事で行けないときは

 家事やお仕事が忙しくて、「答弁書」や「事情説明書」の記載が後回しになって、気がついたら、家裁に指定された提出期限に間に合わない、ということもあります。どうしたらいいの。一日でも提出が遅れたら、ひどい目に遭うんじゃないの?と心配される方も多いですね。ご自分で家裁の担当者に電話をして問い合わせればよいだけですが、なんとなくハードルも高いし、おとななのに指定日に間に合わせられないというも気恥ずかしくて、自分ではしづらいということもあるでしょう。

 間に合わないときは、裁判所の担当書記官が誰かということを送られてきた書類の中で確認して、電話をしてその担当書記官に、提出期限には間に合わないから、期限を伸ばしてくれるように交渉します。自分では、できないのではないかとおもう方は弁護士を依頼して、弁護士に対応してもらえばよいのです。

 一番困るのは、調停申立書と一緒に届く調停期日の呼出状に指定されている第1回調停期日の日程と時刻です。仕事もあるし、子どもの保育園・学校行事などの対応もあったりして、指定された調停期日の時間に家裁に出向くことは、明らかに無理。家裁は、第1回調停期日は、調停を申し立てた相手方の都合しか聞きませんから、当然のことです。

 もちろん、あなたは第1回調停期日には家裁には行けません。でも、行かなかったら、相手方のいいなりになってしまうのではないの、という不安も頭をよぎります。どう対応するのがよいのでしょうか。

 ここでも、家裁の担当者に電話連絡をして、対応を相談すればよいのですが、やはり裁判所に電話するのはハードルが高いという方もいるでしょう。弁護士に依頼してしまえば、やはり弁護士があなたに代わって対応します。

 

④ 私にもいいたことがあるし、要求もあるのに

 離婚したい側は自分に必要なことしか調停申立書に記載しません。あなたにも言いたいこともあるし、要求したいこともあるのです。あなたに必要なことは、あなたがアクションする必要があります。「別居調停」を求めるだけなら、「答弁書」を出すだけでよいのですが、生活費をきちんと払い続けてほしいという場合には、別に、あなたから、「婚姻費用分担請求調停」の申立てをしなければなりません。

 

⑤ まとめ

 この記事では、離婚調停を申し立てられた側の対応について解説してきました。

 いきなり調停申立書が届いてしまうと、ご自分で対応することはできるかもしれませんが、「答弁書」に法律的な正確な表現をしながら、勝手に指定された第1回調停期日の対応を家裁と協議し、必要なこちらからの調停申立てもしていくとなると、効率的にどう進めるかは弁護士に相談してみてもいいかもしれません。新山口法律事務所では、そのような相談にも対応しています。

 

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