離婚に向けて別居を考えている

① 離婚に向けたときの別居の持つ意味

 離婚がこじれて裁判で離婚を決めるときには、法律上の離婚原因がなくてはなりません。婚姻関係が破綻していることはその一つですが、家裁で調停や訴訟をしていくときには、別居していないと、夫婦関係が破綻していると認めてもらえない場合があります。

 法律的には、婚姻関係の破綻というのは、現在、夫婦関係が円満を欠くことだけではなく、将来的にも婚姻関係の修復が見込めないことまでをも含んでいます。いまは仲が悪くても、将来的にその原因がなくなる公算が大きければ、離婚訴訟では負けることがあります。一番典型的なのは、現在の夫婦仲が悪い原因は、姑にあるというケースです。姑が90を超える高齢者であれば、将来的には先に亡くなり、夫婦仲が悪くなる原因が除去される可能性があるとなれば、離婚訴訟が認められないという結論もあるというわけです。

 同じように、現在、同居し続けているというのならば、いまは夫婦仲が悪くても、同居していく中で夫婦仲が戻る見込みもあると判断されかねません。逆に言えば、夫婦の別居がもう5年以上にもなっているということであれば、なおかつ、その間に、夫婦らしい情緒的な交流がなくなったということであれば、その別居の事実だけで、もう元の鞘には戻らないという判断になっていくというわけです。

 離婚しようという場合には、やはり、別居の事実が先行していることが普通ですし、少なくとも弁護士に依頼してくる方の大部分はすでに別居している方ばかりです。

 

② 同居中の人が離婚調停を起こしたときの反応

 まれに夫婦仲が悪いのに、同居を続けていて、離婚調停を活用する方もおられます。家裁のスタッフ(裁判官や調停委員)は、やはり同居しているのだから、やり直しをしたらどうかと夫婦関係の修復の話題ばかりを出してくることがあります。清水の舞台から飛び降りる覚悟で家裁に調停を申し立てたというのに、家裁のスタッフから修復に向けて頑張りましょうという扱いを受けたら、心が折れてしまいます。

 離婚の具体的なステップに踏み出す前に、できれば、別居に踏み切っておきたいところです。

 

③ まず別居するためには

 別居するといっても、いくつかのやり方があります。一番手っ取り早いのは、合い鍵屋に依頼して、自宅のシリンダーを交換してしまうことです。費用はだいたい5万円程度でしょうか。ただ、相手方からは、一方的に追い出されたと言われてしまい、その後の離婚調停や離婚訴訟で不利になってしまいます。

 そこで、やむなく、自分が出て行くという方向を探ることになりますが、二番目に手っ取り早いのは、実家に帰ることです。子どもたちの学校や保育園の問題がありますが、いずれ転校手続をとるにせよ、当分の間は、自分か実家の親などで送迎をしていくことになります。子ども手当の振込先口座の変更のこともありますので、その手続も怠りなく準備します。

 実家が遠隔地という場合には、自分で転居先を確保していくことになります。手持ち資金があれば、相手方が出張などで不在となる日をエックスデーとして、運送業者を手配し、転居先の借家を確保し、必要に応じて、転校手続をとっていきます。DV案件でなければ、子どもたちへの負担を少なくするため、通学先の学校・保育園などは変更しなくて済む地域から転居先を準備します。エックスデーになったら、自分と子どもたちの荷物だけを搬送して、相手方の荷物だけは残していきます。何を搬送したかは、デジタルカメラなどで証拠写真を撮っておきたいものです。

 専業主婦だったりして手持ち資金がなく、実家の経済的援助も望めないという場合には、県営・市営住宅を狙っていくことになりますが、各自治体によって運用が違ってくる場面がありますから、役所で十分に確認していくようにします。

 

④ まとめ

  離婚を実現したいというときは、法律的には別居を先行させることが有益です。同居のままでも離婚調停などは使えますが、円満修復のやり直しを提案されて不愉快な目に遭うことも出てきます。一口に別居するといっても、転居先の確保の仕方で準備を計画的に進めていく必要がある場合もあります。

 

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