熟年離婚をしたい

① 熟年離婚の手順・特徴・大事な点

 最近、よく熟年離婚ということばを耳にします。厳密に定義されている言葉ではなさそうですが、子育てを終えて一段落し、夫婦二人だけの時間が増えていく世代での離婚といえそうです。離婚問題では、幼い子どもの親権や養育費が問題にならない代わりに、ある程度蓄積されてきた夫婦財産の財産分与の問題や、年金分割の問題、残っている住宅ローンの後始末といったように財産問題が離婚紛争の中心となることが熟年離婚の特徴といえます。世代的には中高年層が中核です。

 中高年層であっても、特に離婚手続や離婚の手順が変わるわけではありません。話し合いがつけば離婚届を役所に提出して、離婚が成立します。話し合いがつかなければ家裁を利用して調停や訴訟で離婚します。

 時として、まだ中高年であっても、相手が早期の認知症になっていたりして、話合いの手続が普通のようにはいかない場合も見受けられます。そのようなときには、離婚訴訟をする前に相手方に成年後見制度を活用して成年後見人をつけてやる必要があります。その手間ひまはあなたがかける必要があります。

 相手方が認知症になっていなくても、中高年離婚の場合には、財産分与の問題を避けて通れませんので、相手方名義の財産をきちんと把握できているかどうかも大事な点です。

 

② 離婚する実益があるのか。

 中高年離婚の場合、相手方が認知症になっているときは、介護保険施設を活用することで日常の不満点が解消できることもあります。成年後見人が相手方の全財産を管理して、支払等もしてくれますし、ご自分が成年後見人になってしまえば、ご自分で介護保険施設入所契約の手続もできてしまいます。

 相手方の相続開始時期が近い場合には、そのときを待って、遺産分割によって2分の1の配偶者相続分を活用すればよく、その後は、子どもたちとの良好な関係しか残らないのであれば、無理をしていまさら離婚する必要もないこともあります。

 熟年離婚の場合には、本当にいま離婚する実益があるのかどうか、法律的にはよく考える余地があります。

 

③ 不動産名義について話し合いがついているときの贈与特例の活用

 離婚すること自体は二人の話し合いで決まっていて、住居などの不動産についても妻に渡すことが決まっているような場合には、税法上、夫婦間の贈与特例を活用することの方が節税のメリットがある場合もあります。離婚時期と不動産所有権の移転時期とはよくよく考えてみたいものです。税理士にも相談しておくとよいでしょう。

 

④ 相手方は裁判所に出向ける体の状態か。

 中高年離婚で話し合いが難航して、裁判所を使うという場合には、病気などの関係で相手方が裁判所に出向くことができないケースもあります。かなりの高齢となり、それでも絶対に離婚したというご夫婦がおられましたが、弁護士を代理人として話し合いつつ、合意はできましたが、相手方は生命維持装置につながれていて、病院から出られません。家裁にはもちろん行けません。離婚などの問題では、家裁の調停には弁護士だけではダメで、本人も必ず出頭しなければなりません(本人出頭主義)。

 そのままでは、合意ができても調停が成立しないため、調停に代わる審判という特殊な審判をしてもらう必要があります。

 

⑤ まとめ

 熟年離婚だからといって、やることが変わるというわけではないですが、離婚前にやるべきこと、離婚が本当に必要・有益なのかをよく考えて、行動する必要があります。成年後見制度との関係、特殊な調停に代わる審判の活用といったことにも気を配る必要もあります。すこし難しいかなと思われた場合には、直接、面談でご説明を受けられてみてはいかがでしょうか。あなたの場合に即して、具体的にご説明すると、しっくり頭に入りやすいと思います。

 

 

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