不倫の慰謝料を請求された

① あなたには身に覚えがありますか

 あなたが突然、不倫の慰謝料を請求されたときは、身に覚えがあるかどうかで、行動が決まってきます。あなたが関係を持ったことがある異性が、実は、配偶者がいたというケースは少なくありません。不倫というと、悪いイメージが浮かびがちですが、関係を持った異性が既婚者であることを隠していたケースもあります。

 また、関係を持った相手が同性であったとしても、不倫をした事実には変わりはありません。

 逆に、肉体関係は持っていないけれど、異性と会話をしたとか、電話をしたとか、果てはオンラインゲームの通信機能でコミュニケーションをとったということを捕まえて、不倫だと騒ぎ立てる人もいますが、不倫はあくまでも肉体関係を持つことが前提です。

 不倫をしたかどうかをまずは正確に認識しましょう。

 

② 身に覚えがある場合には

 その上で、あなたに不倫をしたという自覚がある場合には、相手からの慰謝料の請求内容を確認して、解決を図った方がいいのかどうかを判断します。

 あなた自身が、不倫だと分かっても、関係を持った相手との接触を断ちたくないということもあります。ただ、不倫相手が同じ気持ちであっても、不倫した側から離婚を求めることは困難ですので、ずるずると違法行為を続けてしまうことになりかねません。考え直せればよいのですが。

 反対に、不倫が発覚して、不倫相手が結婚相手の元に戻っていくケースもあります。その場合には、慰謝料請求や不倫相手との今後の接触禁止などを合意して解決していくことになります。不倫相手も不倫の共犯者ですから、その分の責任は減額してもらうように交渉するのも考えられますが、請求してくる側は怒り心頭の場合が多いですから、交渉はやっかいになりがちです。

 

③ 身に覚えがない場合には

 あなたに不倫をしたという認識がない場合には、請求内容をよく読んで、請求者の勘違いか、誤解である場合には、請求には応じられないことになります。ただ、たとえ勘違いであったとしても、請求者はやはり怒り心頭ですから、それで事態が解決する可能性は低いです。

 

④ 裁判に持って行かれた場合にどんな証拠が出されてくるか検討しましょう

 どちらにしても、交渉ではうまくまとまらないことが多いのが実情です。請求者側は怒り心頭ですから、単に慰謝料を支払えというだけではなく、その請求額も1000万円というように桁外れの法外な金額であったりします。職場での不倫であれば、あなたに退職するように求めてくることもよく見られます。もちろん、今後の不倫相手との連絡は禁止ですし、果ては、あなたに県外に引っ越しをしろとまで言ってくることもあります。

 話し合いがこじれると、請求者があなたを自宅に呼びつけて、不倫相手も同席させた上で、謝罪をさせたり、今後は会わないという誓約書を書かせたりすることもよく見受けられます。もちろん、その場の会話は、たいてい録音・録画されています。

 あなたとすれば、将来的に裁判所に持って行かれたときに、どんな証拠が請求者から出されるかも考えておかなければならないところです。自宅に呼びつけられて書かされた謝罪文などはもちろん、不倫中に不倫相手と交換していたラインのトーク履歴の中のいかがわしい写真や動画なども証拠で出されることは珍しくありません。

 逆に、決定的な証拠を持ち合わせていないケースも散見されます。

 請求者側がどの程度の、どんな証拠を持っているかということは裁判の動向を占う上ではとても重要です。和解で解決するにしても、どこまで請求者側に譲歩しなければならないのかも決まってきます。

 

⑤ 和解で解決するにはどんな提案をすればよいか

 裁判所での訴訟中に和解で解決するという場合には、極端に理不尽な条件までは突きつけられないことが多いですから、県外追放とか退職強要ということはあまり見られません。

 その代わり、不倫された被害者本人は、弁護士に依頼していたとしても、弁護士任せにせず、一緒に毎回法廷に来ることが大半です。

 あなたに直接法廷で謝罪するように求めることもよくみかけます。

 とはいえ、裁判上の和解解決をする場合の一番の問題点は、慰謝料の金額と支払方法ということになります。請求者はなかなか金額的に譲歩をしてきません。そのため、支払方法としては分割払いを提案せざるをえないケースも多く見られます。

 ただ、怒り心頭の請求者と、分割払いという形であっても長期間の今後の接触を続けることは、分割金の一日の遅延だけでも大騒ぎされたり、職場に押しかけられたりと何かと心配材料を残しがちになってしまいます。どうしても分割払いにしたい場合には、金融機関の融資を利用して一括払いをし、請求者との関係は断ち切り、分割払いは金融機関に対して行っていくのが賢明だと考えています。

 

⑥ まとめ

 不倫慰謝料の請求をされた場合には、身に覚えがあるかどうかを自問自答します。その上で、相手の要求内容を検討します。理不尽な場合には、要求をいったんは拒絶することになりますが、そのときには後日、提訴されてどんな証拠が出されてくるのかも見極める必要があります。最終的には、身に覚えがあるときは、ある程度のまとまった金額の支払が必要ですが、金融機関から融資を受けるなどして、請求者との関係は早期に断ち切りましょう。

 

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