不倫の慰謝料を請求したい

① 不倫の証拠には何が必要?

 夫婦には、お互いに貞操を守る義務があります。そのため、一方が他人と情交を結んだ場合には、被害を受けた側は不倫相手に慰謝料を請求することができます。不倫相手は異性に限らず、同性と不倫された場合でも同じです。夫が、他の男性と不倫した場合でも、妻は慰謝料を不倫相手の男性に請求することができます。妻が、他の女性と不倫した場合には、夫は慰謝料を不倫相手の女性に請求することができます。

 ただ、不倫相手が不倫の事実を素直に認めるケースばかりではありません。不倫相手が不倫の事実を否定してくる場合には、原告としては不倫したことを証明する必要があります。

 そのため、不倫の証拠は事前に確保しておく必要があります。多くの方は、夫もしくは妻と不倫相手の交際を匂わせるラインのトーク履歴を持っています。しかし、不倫を法廷で証明するとなると、情交があった事実を証明する必要がありますので、これでは弱いのです。

 だからといって、セックスしている場面を撮影した写真などは手に入らないことがほとんどですから、それ以外の、情交があったことを匂わせるできるだけ直接的な証拠がほしいわけです。

 ある方は、不倫相手とラブホテルに入る前に食事をしたり散歩をしたりしている場面を撮影した写真を証拠として提出しました。しかし、不倫相手は、手をつないでいるように写真ではみえても、実際には、二人はかなり遠くを歩いていて、遠近法のように写ってしまっただけなんだという弁解をされたこともありました。

 それだけに、可能であれば、ラブホテルに二人で入っていく場面と、二人で出てくる場面とを撮った写真が複数回分ある、くらいの強い証拠が必要となります。

 

② 不倫慰謝料の相場はいくらくらい?

 では、不倫慰謝料というのは、いくらくらい請求できて、いくらくらい支払われるものなのでしょうか。

 個別の案件ごとに特殊性がありますから、全部がこの範囲に入るというわけではないですが、だいたい300万円から500万円の範囲内で請求額を立てることが多いようです。現実に決まる慰謝料額としては、100万円前後から200万円前後といったあたりが多いようです。

 

③ 不倫慰謝料請求に向けてのコストはどれくらいかかるの?

 回収金額が150万円程度として、コストはどれくらいかかるのでしょうか。不倫の証拠は決定的に強いものが必要ですから、理想的なのは、探偵に素行調査を依頼して、報告書を作ってもらうことになります。しかし、実際の情交の予定は事前には分からないことが多いですし、探偵に頼むまでの実感覚から予測を立てても、はずしてしまうこともあります。探偵の費用は人件費ですから、はずした場合にも発生してしまいます。一回だけの遊びではないという立証のためにも、複数回の現場を押さえたいものです。そうなると、どうしても、素行調査費用は100万円程度はかかってしまうケースが多いのです。

 素行調査費用とは別に、裁判まで持っていくのであれば、弁護士費用もかかってしまいます。不倫慰謝料の請求は、経済的には見合わないものであることが多いのです。それでも、どうしても許せないときに、不倫慰謝料の請求に踏み出します。

 

④ 不倫慰謝料と求償権

 不倫は、よく考えると、不倫相手だけが悪いのではなく、不倫した夫もしくは妻も共犯者です。法律的には、不倫した夫もしくは妻と不倫相手との共同不法行為ということになるのです。被害者は、共同不法行為の被害を受けたときは、どちらにいくら請求するのも自由ですが、最終的には、共同不法行為者間では負担が同じようになるように調整することができます。

 たとえば、あなたから請求された不倫相手が慰謝料200万円の全額を支払ったときには、支払った後に、不倫した夫もしくは妻に半額の100万円を請求することができるのです。これを求償と呼びます。不倫慰謝料を取った後、あなたが離婚するつもりならば、別に痛くもかゆくもありませんが、不倫慰謝料は請求するけれど、夫婦としてはやり直したいというときには、家計が一緒であることを考えると、取り立てた慰謝料が200万円でも、家計上は慰謝料は100万円しか取れなかったのと同じ結果となります。

 図々しい不倫相手の場合には、最初から求償分だけ減額して支払うという回答をしてくる場合もあります。

 

⑤ まとめ

 不倫慰謝料を請求したいというときには、かなり確実な強い証拠が必要となります。そのために素行調査を依頼すると、その費用が100万円程度はかかり、さらに裁判するとなれば弁護士費用も別にかかります。その割に、実際の慰謝料相場は100万円~200万円が多く、その上、不倫したパートナーとは離婚しない選択をすると、求償による事実上の減額が影響してきます。不倫慰謝料の請求はコストパフォーマンスという点では決してお勧めできないものです。どうしても採算度外視で許せないときに請求するものです。

 

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