
嫁姑問題にこんなお悩みはありませんか?
令和になった現代では、夫の親族と同居するという形態は割合的にはかなり少なくなってきているように思います。ただ、近居などという言葉がもてはやされたりして、同じマンションの建物内の別住戸に姑や舅が住んでいて、頻繁に顔を合わせるという方もいらっしゃるでしょうし、住宅メーカーが推奨したがる二世帯住宅を建ててしまい、やはり頻繁に姑や舅と顔を合わせるという方もいらっしゃると思います。
そうでなくても、盆暮れになると、夫の実家に一緒に帰省させられるという方は少なくないと思います。
テレビドラマのように分かりやすい嫁いびりから、カチンとくるような嫌みを言われたり、孫はまだなのか、とハラスメントと受け止められるような発言をされたり、ということで、嫌な思いをしたり、肝心の夫は、マザコンぶりを発揮して、嫁の私だけが疎外感を感じてしまうということもあろうかと思います。やがて、それが繰り返されると、夫自体にも愛想が尽きてしまうことも出てくるかもしれません。
離婚を決める前にした方がいいこと
もちろん、せっかく結婚した相手ですから、そういう気持にならないうちに、近居や、二世帯住宅居住の場合には、夫の親世帯とは別居に踏み切れるのがベストだと思います。ただ、二世帯住宅が夫婦のペアローンで購入したものであったりとか、マンションも購入してしまったものである場合などでは、リハウスして転居するのが難しいこともあると思います。
相手が相手だけに難しいかもしれませんが、義理の親世帯との交流についてはある程度のルールを設けることができれば、よいかもしれません。
しかし、それができない、言いづらいというケースも多いと考えられます。
嫁姑問題で離婚できる?
それでは、法律的に、姑や舅との関係不和、姑や舅からのハラスメントなどを理由として離婚請求することは可能なのでしょうか。
実は、戦前の民法では、はっきりとした条文がありました。旧民法813条は裁判離婚の離婚原因となるべきものを10項目列挙していましたが、その中に「配偶者ノ直系尊属ヨリ虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ」には、裁判離婚ができることが決められていました。
今の民法では、このはっきりした条文はありませんが、「家」制度に基づく規定以外の離婚原因は廃止されたわけではなくて、今の民法の包括的な規定である「婚姻を継続し難い重大な事由」に統合されたものとして解釈されています。
もちろん、明治時代に作られた旧民法の解釈では、舅、姑から虐待または重大な侮辱を受ければ、夫婦間の婚姻関係修復が可能かどうかを問わずに、裁判離婚が認められる考え方をとっていましたが、今の民法の解釈としては、舅、姑から単に虐待または重大な侮辱があるだけではなく、それに起因して単なる夫婦の家庭不和から、婚姻継続の意思がなくなってしまうことまでは必要であると考えられています(古い裁判例ですが、東京高判昭和28年7月6日)。 したがって、嫁姑問題も、姑からのハラスメントが耐えられない重大な侮辱であったり、虐待にまで感じられるようであり、それが原因となって、夫との結婚の継続も考えられない状態にまでなっていれば、離婚原因となると考えられます。
姑によるモラハラのケース
姑による嫁へのハラスメントは、同居が普通とされていた時代には、家業(農業など)に無償労働を提供させて、さらに、3世代同居の一家の主婦として働くのが当然という風潮のもとで、姑からみて、不合格と見られる部分があれば、遠慮なくダメだしをされ、暴言を吐かれたり、暴力を加えられたりといったものが多く見られていた印象ですが、令和の現代では、同居していないことも多くなり、電話やラインなどで、子どもはまだ生まれないのかなどと嫌がらせと受け止められる言動をされるというのが主流のように感じられます。
ただ、その中でも、DV加害者の夫をかばい立てして、息子と一緒になって嫁である妻を責め立てる言葉の暴力を執拗に加え続けてくるケースも散見されます。
姑や夫への慰謝料請求ができる場合
夫婦間で、夫から暴言を受けたり、暴力を受けたり、生活費を入れてもらえなかったりといった事情があった場合には、状況によっては離婚請求をするのとともに、離婚慰謝料の請求をする場合があります。夫に不貞行為があった場合も同様です。
夫だけでなく、夫の実母である姑の言動も相まって、別居・離婚を余儀なくさせられ、精神的苦痛を受けたという場合にも、状況によって、夫に対して慰謝料請求をすることがあります。
姑の言動というのは、不適切な姑のハラスメント言動が妻に向けられないように制止しなかったという点で、基本的には、夫の落ち度として、状況によって、慰謝料請求をすることとなります。
それ以上に、夫だけでなく、姑個人に対しても慰謝料請求をするという事例も見かけないことはありませんが、それほど多くはありません。おそらくは、財産状況の世代間格差から、夫個人にはそれほどの支払能力はないが、夫をかばう姑世代には十分な蓄財があるため、夫だけを相手に慰謝料請求をしておき、現実の支払いは姑らに負担させることで、妻側としては溜飲を下げているケースが多いように思われます。
嫁姑の親権争い
嫁姑問題は、夫婦関係への影響にとどまらず、夫婦の子どもである孫をめぐって監護権争奪合戦に発展する場合もあります。
祖父母は孫をかわいがる傾向が強いですが、得てしてその愛情は無責任なものになりがちです。また、自分の子どもと違い、年齢差も大きいため、孫が成長する頃には祖父母は体力的に衰えてしまい、中学高校時代の孫に十分に対処できなくなることも少年事件を見ていると痛感させられるところがあります。
とはいえ、孫が幼少期の場合には、離婚の際の親権者争いに自分の息子である夫を通じて参加し、夫の監護補助者として、親権獲得に奔走するケースが見られます。夫自身に監護実績が乏しく、子育てを妻任せにしていたような場合には、基本的に離婚後の単独親権を夫が獲得することは難しいと考えられますが、祖父母が最大限の支援をすることで、かなり良好な養育環境を子どもに提供できるような場合には、夫側が離婚後の単独親権獲得をする見込みもゼロではなくなるケースもあり得ます。
さらに、夫が死亡するなどして、直接、姑が孫を抱え込むような事態もないわけではありません。そのようなケースでは、夫死亡により単独親権者となった嫁が子どもを取り返すためには、家庭裁判所ではなく、地方裁判所を使って、親権に基づく妨害排除請求という特殊な訴訟を提起したり、人身保護請求という特殊な裁判をやることもあります。
だからといって、姑が孫を監護するのが適切だという状況が仮にあったとしても、父母以外の第三者を監護者と指定する提案は、民法改正の審議の際に議論されましたが、採用は見送られましたので、法律的に正式に姑が孫の監護者となることはできません。
弁護士にご相談ください
令和の現代ですが、嫁姑問題は法律的に掘り下げていくと、意外に奥が深いところがありますし、ケースバイケースとしか言いようがないところがあります。嫁姑問題で疑問に感じられましたら、直接、弁護士にご相談いただくのがよいと思います。





