離婚の流れについて
日本の法律では、離婚するときに、必ず裁判所を使わなければならないというわけではなく、夫婦の話し合いで離婚する合意ができれば、市役所に離婚届を記入して提出すれば、離婚が成立します。
離婚する夫婦の間に未成年の子どもがいれば、離婚後の子どもの親権者をどうするかということも記入します。
また、養育費の協議ができているかどうか、子どもと一緒に暮らさない親が子どもと定期的に面会できる協議ができているかどうか、の二つの点に関するアンケート欄もあります。
離婚すること自体、あるいは離婚することはかまわないが、未成年の子どもをどちらが引き取るかなどで、話し合いがまとまらないという場合もあります。
その場合には、家庭裁判所を使って、調停委員という第三者の関与の元で離婚調停という公式の話し合いの場をもちます。
その調停の中で、離婚条件が合意に達すれば、家庭裁判所の調停調書で離婚条件をとりまとめます。
これで離婚が成立します。戸籍への届け出もしますが、調停離婚の場合には離婚届で離婚の効力が発生するわけではなく、家庭裁判所で調停の合意が確認された時点で離婚の効力が発生します。
離婚調停を使った話し合いでも、離婚条件が合意できない場合には、最終手段として、離婚訴訟をして、離婚判決が得られれば、裁判離婚が成立することになります。
離婚の効力は、離婚判決が確定した時点で生じます。
協議離婚・調停離婚・裁判離婚のいずれかで、離婚できた場合には、未婚の子どもの苗字をどうするかという問題が残ります。
そのまま放置すれば、夫婦の結婚中の苗字のままとなり、戸籍も元の戸籍のままです。
離婚した後も、結婚のときに苗字を変えた側は、結婚中の苗字を名乗り続けることができますが、戸籍は新戸籍を編成します。
同じ苗字のように見えますが、戸籍が違えば苗字は別です。
そのため、結婚中の苗字を名乗り続ける選択をした親の戸籍に入ろうと思えば、子どもについては別に「子の氏の変更」許可審判を家庭裁判所で獲得する必要があります。
その審判が確定した後で、結婚中の苗字を名乗り続ける親の氏を称する入籍届を市役所に提出します。
協議離婚
協議離婚は、離婚しようとする夫婦の話し合いで離婚すること、離婚後にどちらが子どもと一緒に暮らすかといった離婚条件について話し合いがまとまったときに、市役所に離婚届を提出することで離婚の効力が発生する方式です。
婚姻届のときと同じく、証人2名が必要ですが、それは誰でもかまいません。
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調停離婚
調停離婚は、夫婦間で離婚条件の話し合いがつかなかったときに、家庭裁判所の調停委員の手助けを受けつつ、話し合いをしていき、離婚条件が合意できれば、調停調書に離婚することと離婚条件を取り決めて離婚する方式です。
届け出はしますが、家庭裁判所で合意確認した段階で離婚の効力が発生します。
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裁判離婚
夫婦間の協議もまとまらず、家庭裁判所の離婚調停でも離婚条件の合意ができない場合には、離婚訴訟を起こして離婚判決を取得するしか離婚する方法はありません。
裁判離婚です。
ただし、裁判離婚するためには、法律で決められた5つの離婚原因のうちのどれかに該当することが必要です。そして、裁判である以上、その離婚原因を証拠によって証明する必要もあります。
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円滑な離婚のサポートのために
裁判離婚となれば、弁護士に任せるしかないということは皆様もよく認識しておられるところですが、実は、協議離婚の段階でも、弁護士のサポートを受けつつ協議を進めていけば、無謀な離婚条件の要求は控えることもできますし、法的知識がなくて損をすることも防げます。
離婚調停は所詮は話し合いに過ぎないと軽んじていると、家庭裁判所の雰囲気に飲まれてしまい、不本意な離婚条件を押しつけられてしまうこともないわけではありません。
離婚はどの方式による場合でも、弁護士のサポートを受けておくのがいろいろな意味でお勧めです。